主に人文・社会科学系における研究計画書を想定していますので、自然科学系の方は参考までにご覧ください。
また、人文・社会科学においても、分野によっては今回紹介するような構成と同じだとは限りませんので、ご自身の専攻の研究計画書を十分にチェックしてください。
単純化すれば研究計画書の構成は以下の通りです。
研究テーマ
背景(社会的背景・学術的背景・それに対する問題意識)
研究目的
研究方法(分析方法・資料・計画)
予想される結果
研究意義
研究計画書で必要とされる要素は「独自性」「意義」「実行可能性」だといえます。
これらのどれかが欠けても研究計画書として不十分です。
すでに先行研究で明らかにされたことを整理してもそれはただの「まとめ」ですし、先行研究の内容を知らずに研究し、先行研究と同じ結論を出すような「車輪の再発明」は「新しい知」を生み出す営為とはいえません。
また、先行研究で誰も指摘していない結論を提示しても、その結論にどのような意義があるのかを社会的・学術的な文脈のなかで説明しなければいけません。
たとえ研究に独自性や意義があっても、結論を導くための方法や資料が存在しなければ「砂上の楼閣」です。
この三要素を揃える意識を持ちながら計画書を執筆しましょう。
研究テーマ
研究テーマは研究計画書の「顔」です。
研究内容が伝わるように簡潔に書きましょう。
特に、研究目的との整合性がとれていることが重要です。
この研究において明らかにしたいこととテーマに矛盾やズレが生じないように、書き終えた後にもう一度確認しましょう。
背景
現在までの社会的背景や学術的背景を説明しながら、なぜこの研究をする必要があるのかを明らかにしましょう。
特に学術的背景として先行研究の整理をすることが重要です。
自分の研究テーマと完全に同じという先行研究はめったにないでしょうから、複数の関連項目を設定し、先行研究を探しましょう。
たとえば、ある戦前日本の外交官の日中経済提携推進について研究するとしましょう。
そうすると、その人物に対する「人物研究」、「日本外交史」、「日中関係史」、「経済提携・経済外交」、もっといえば「国際経済・貿易論」に関する研究など、様々な角度の先行研究を踏まえる必要があります。
もちろん、この分野のすべての先行研究を研究計画書に書き入れる必要はありませんが、主要な先行研究を挙げて各分野の研究状況がどうなっているのか説明しましょう。
ただし、どのように研究がされてきたのかを羅列するのではなく、先行研究の問題点を指摘し、その問題に対してこの論文でどのような角度からアプローチし解決するのか、ということが重要です。
そういう意味では、先行研究の紹介というより、先行研究の状況に対する分析結果を報告するという姿勢が必要でしょう。
研究目的
以上の社会的背景と学術的背景を踏まえ、この研究で何を明らかにするのかを簡潔に説明しましょう。
「どのような観点・方法を用い、何を明らかにするか」が重要な情報です。
たとえば、研究目的において「~を研究する」という書くと、研究すること自体が目的となってしまいますので、このような書き方は避けましょう。
あくまで何かを明らかにする必要があるから研究をするのです。
「~を明らかにする・~究明する」などの書き方が良いでしょう。
ほかにも、研究目的に長文の研究目的を書いたり、複数の研究目的を挙げたりする例がありますが、これでは目的が散漫になりわかりづらいです。
必ずしもこの限りではありませんが、主要な目的は一つに限定し、最大でも150字以内に収めることが推奨されます。
研究方法
まずはどのような分析方法を用いるのか説明します。
分析方法は各専門分野によって大きな違いがあるので、ここでは直接言及しませんが、研究を進める上で用いる観点や理論を説明しましょう。
そして、何を対象として分析するのかを紹介することも必須です。
まず、対象となる主体(アクター)や現象などを明確にし、さらに一歩踏み込んで、その対象を分析するために何の資料を用いるのかを明らかにする必要があります。
研究手法で独自性を出すのはかまいませんが、導かれる結論が先行研究と変わらないならば意義は激減します。
あくまで、研究目的を達成するための手段として有効な方法を考えましょう。
研究計画書の種類にもよりますが、年次計画や研究日程を記入する必要がある場合があります。
資料収集方法などを検討したうえで、無理のない計画を立てましょう。
重要なのは「実行可能性」です。 極端な話、「米大統領へのインタビュー」などは修士論文の研究方法としてはほぼ不可能でしょう。
予想される結果・研究意義
この項目は、必ずしも計画書内で独立した項目として設定する必要はありません。
しかし、分野によっては具体的な仮説を設定しなければならないので、ご自身の専門分野の研究計画書ではどのような項目が必須なのかしっかり確認しましょう。
とはいえ、研究分野を問わず、結論の大まかな予想あるいは明らかにしたい内容と、その意義は説明する必要があるでしょう。
この研究にどのような意義があるのかという部分は、研究を認めてもらうための胆です。
社会的背景や学術的背景を踏まえたうえで、独自性と意義をアピールしましょう。
執筆の際の注意点
研究計画書執筆の注意点は以下の記事に個別に記載しています。
ぜひ参考にしてみてください。
研究計画書は一朝一夕では完成しません。
指導教員や学生と相談して、時間をかけて練り上げましょう。
自分では気付かなかった欠陥が明らかになることも珍しくないので、他者の視点は非常に重要です。
必要であれば、早稲田茶館の研究計画書添削サービスをぜひ利用してみてください。
みなさんの成功をお祈り申し上げます。
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